はじめに
「人と仲良くするのが得意そう」「明るくて、誰とでも打ち解けられる」
そんなふうに言われるたびに、なんとなく違和感を覚えていた。
確かに、職場でもプライベートでも“人気者”に見られることはある。
でも、家に帰ると妙に寂しくなったり、心がぽっかり空いたような気持ちになる。
あなたにも、そんな「ギャップ」に悩んだ経験はありませんか?
この記事では、私自身の体験も交えながら、
「周りからは充実して見えるのに、なぜか孤独を感じてしまう」
そんな心のしくみを解きほぐしていきます。
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「人気者」に見える私の、誰にも言えなかった本音
例えば、職場での朝の挨拶。
「おはよう!」と明るく声をかければ、みんなが笑顔を返してくれる。
会議では場を和ませる一言を添えて、飲み会では気配りを欠かさない。
自分でも「うまくやれてるな」と思う瞬間はある。
でも、帰り道、一人になったとたんに、
「なんでこんなに疲れてるんだろう」
と、ズシンとくるような重さを感じることがあった。
たくさんの人に囲まれて、楽しそうに笑っているはずなのに、
「私のことを本当に理解してくれる人なんて、どこにもいないんじゃないか」
そんな気持ちがふっと湧いてきて、妙な寂しさに襲われることがある。
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それは「役割」を演じることで生まれるギャップ
人は誰しも、相手や場面によって「見せる自分」を変えている。
上司には「しっかり者」、同僚には「気さくな人」、後輩には「頼れる先輩」。
そんなふうに、自分の役割を無意識に使い分けながら、社会の中で生きている。
それ自体は悪いことじゃない。
でも、ふと「本当の自分はこれじゃないのに」と感じ始めると、
役割と自分とのギャップに苦しさを覚えるようになる。
「明るくて気遣いができる私」を求められるほど、
本音を出せない自分がどんどん孤独になっていく。
それでも、期待を裏切るのが怖くて、また“いい人”を演じてしまう。
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周りは「楽しそう」に見えても、本人は孤独を感じている理由
孤独には2つの種類があると言われている。
ひとつは「人と物理的につながりが少ない孤独」。
もうひとつは「人に囲まれていても、心が通っていないと感じる孤独」。
前者はわかりやすいけれど、
意外とつらいのは後者、つまり「わかってもらえていない」と感じる孤独だ。
周りから「楽しそう」「友達多くて羨ましい」と言われれば言われるほど、
「いや、そうじゃないんだけど…」
と、ますます心のギャップを深めてしまう。
本当は「誰かにわかってほしい」「ありのままの自分を受け入れてほしい」と願っているのに、
それを言い出せないまま、心の中でこっそり孤独を抱えてしまう。
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「本当の自分」を出せなくなる理由、
私自身、周りに嫌われたくなくて、
「明るい人」「気遣いのできる人」を演じ続けてきた。
その裏には、こんな思い込みがあった。
「嫌われたら終わり」
「みんなに好かれている私しか価値がない」
こうした思い込みは、
「○○できる自分じゃなきゃダメ」
「役に立たない私なんていらない」
という、条件付きの価値観を強めてしまう。
本当は、どんな自分でも存在していいはずなのに、
「これを失ったら、私には何も残らない」と思い込んでしまう。
だからこそ、つい無理をして、
「本音を言えない」「弱さを見せられない」
そんな自分になってしまう。
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「わかってもらえない」から「わかってほしい」への一歩
本当は誰だって、
「わかってほしい」「受け入れてほしい」
そう願っている。
でも、怖い。
「こんな自分を見せたら、嫌われるんじゃないか」
「今の関係が壊れてしまうんじゃないか」
だから、つい「いい人」の仮面をつけたまま、
誰にも本音を言えずに、心の中だけで孤独を深めてしまう。
でも、それを少しずつ壊していくためには、
ほんの少しだけ「素の自分」を出す練習が必要だ。
たとえば、
「実は緊張してたんだよね」
「本当は苦手なんだ」
そんな小さな本音を誰かに伝えてみる。
それだけでも、相手との距離が少し変わっていく。
本音を受け入れてくれる人は、意外と近くにいるかもしれない。
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まず「自分自身」と向き合うことから始めよう
「誰かにわかってほしい」と願う前に、
まずは自分自身が「自分の気持ち」に気づいてあげることが大切だ。
・本当は何が好きで、何が嫌なのか
・何を我慢して、何を本当は望んでいるのか
忙しい日々の中で、つい後回しにしてしまう「自分の声」。
まずはそれを拾い上げる時間を、少しだけ作ってみてほしい。
・日記に書き出してみる
・一人で散歩しながら自分に問いかけてみる
・「今日はこんな気持ちだったな」と振り返ってみる
そんな小さな習慣が、
「本当の自分」に気づくきっかけになる。
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「どんな自分でも大丈夫」と思えると、つながりが変わる
完璧じゃなくていい。
弱さがあってもいい。
気を遣えない日があっても、疲れて笑えない日があっても、それでも大丈夫。
「どんな自分でも、私は私でいい」
そう思えるようになると、不思議と人とのつながり方も変わってくる。
気を張らずにいられる相手ができたり、
「無理してたな」と気づいて関係を見直せたり。
それが、少しずつ「本当のつながり」につながっていく。
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さいごに
「楽しそうに見えるのに、なぜか孤独を感じる」
それは、君が“いい人”を頑張ってきた証でもある。
でも、無理して演じなくても、
素のままの君を大事に思ってくれる人は、必ずいる。
だからまずは、自分の本音を聞くことから始めてみてほしい。
少しずつ「本当の自分」を出せる場所や相手を見つけていくことで、
きっと今より心が軽くなるはずだから。
君は、君のままで大丈夫。
その一歩を、今日から一緒に踏み出していこう。
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