うつっぽい朝に効いた。何もできなかった僕を変えた習慣

自己啓発

はじめに ― 何もなくなった朝から

投資に失敗し、大きな損失を抱えた。
長年連れ添ったパートナーとの別れも重なり、僕の生活には空虚だけが残った。
貯金もなくなり、心の拠り所もない。そんな状態の中で、朝を迎えることがどんどん怖くなっていった。

起きてスマホを開くと、SNSには眩しい世界が並んでいる。
笑っている友人の写真、幸せそうなカップル、仕事での成功報告。
「自分だけが取り残されている」そんな感覚が、ますます胸を締めつける。

ある朝、なんとなく潰れたままの枕を見て、そっと手で形を整えた。
ただそれだけのこと。
けれどその瞬間、自分の中でなにかがふっと動いたような気がした。

「朝の小さな習慣が、心を整える第一歩になる」
それに気づいたのは、その日からしばらく経った頃だった。

なぜ「枕を整える」ことが心に効くのか

人の心は、想像以上に「環境」の影響を受けている。
部屋が散らかっていると、気持ちもどこか雑になりやすい。
逆に、整えられた空間を見ると、不思議と気持ちにも少し余裕が生まれる。

心理学の用語で「自己効力感(self-efficacy)」というものがある。
これは「自分には行動を起こす力がある」と感じられる力のことで、メンタルの安定にも大きく関わっている。

失敗や喪失を経験した直後、人はこの感覚を失いやすい。
「どうせ何をしても変わらない」と思ってしまうと、行動そのものが億劫になってしまう。

そんなとき、僕にとっての救いになったのが「枕を整える」という、ほんのささいな朝のルーティンだった。

5秒もあればできる。
でも、そのたった5秒が「自分はまだ動ける」「まだ何かできる」と感じさせてくれた。
心を整えるって、実はこういう小さな積み重ねのことなのかもしれない。

毎朝のルーティン、小さな儀式のように

今、僕は毎朝できる範囲でいくつかの習慣を続けている。
完璧を求めているわけじゃない。
やれる日はやる、それだけでいい。
でも、こうして「朝を自分の手で始める」ことが、確実に心を整えてくれている。

・枕を整える
・布団を軽くたたみ、ファブリーズを吹きかける
・カーテンを開けて太陽の光を入れる
・窓を開けて外の空気を感じる
・軽くストレッチをする
・体重を測る
・顔を洗い、歯を磨く

これらはどれも特別なことではない。
でも、1つでもできた日は「今日を始められた」と思える。

朝のルーティンは、日々の気持ちの土台になる。
散らかった頭の中をリセットして、「今ここ」に戻るための儀式のようなものだ。

効果が出るまでに時間がかかった話

正直、最初のうちは「本当にこれ意味あるのかな?」と思っていた。
枕を整えたって、気持ちの重さはすぐには変わらないし、生活の問題が解決するわけでもない。
実際、何もしないまま昼を迎えた日もある。

でもある朝、ふと「今日はちょっとだけ起きるのが楽だな」と思った。

劇的な変化じゃない。
でも、確かにじわじわと自分の中に“余裕”のようなものが戻ってきていた。

沈んだ気持ちは、朝の環境に敏感だ。
だからこそ、小さな行動を繰り返すことで、少しずつ心が整っていく。
それはまるで、静かに効いてくるビタミンのようなものだ。

習慣にできた理由と、できなかった日の自分への優しさ

毎日できていたわけじゃない。
眠れなかった翌朝は、布団から出ることすら辛かった。
ルーティンなんて頭からすっぽり抜け落ちていた日もある。

でも、そういう日があっても構わないと思うようになった。

僕がこの習慣を続けてこれたのは、「また戻ればいい」と思える自分でいられたからだ。

習慣というのは、「継続できる強さ」ではなく「戻れる柔らかさ」でもある。
できなかった日を責めず、「今日はまたやってみよう」と思えることが、心の安定につながっていく。

自分を責める材料ではなく、自分を労わる仕組み。
それが、朝のルーティンであるべきだと思う。

今日をちゃんと始めることが、未来を少し変える

不安や孤独が完全に消える日はこないかもしれない。
けれど、朝をちゃんと始められる日は、確かに一日が少し楽になる。

それは、今日を生きる自分にとって、とても大きな意味を持つ。
だから僕は、明日もまた枕を整える。

小さな動作だけど、心を整えるには十分すぎる一歩だ。
それは、何も持たなかった僕がようやく見つけた「自分との約束」なのかもしれない。

おわりに ― この記事を読んでくれたあなたへ

もし、今なにかを失って、朝を迎えるのが辛いなら、試してみてほしい。
完璧にやろうとしなくていい。
できる日だけで構わない。
「枕を整える」だけでも、きっと少し、心が落ち着くはずだから。

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